肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)の漢方治療症例です。
50代女性

・右肩に、常にツーンとした痛みがある
・腕を方より高く上げると特に痛む
・寝返りをうったときに痛くて目が覚める

これらの症状を改善するために漢方薬を飲みはじめてから2ヶ月が経過。

◎肩の痛みがかなり楽になった

◎特に夜中の痛みが楽になったのでしっかり睡眠がとれている
◎腕の可動域が広くなった
◎痛くて眠れないときに服用していた睡眠薬は、もうすっかり飲まなくても大丈夫になった
△昼の漢方薬(四逆散加減)を飲み忘れてしまうことがある

糸練功での結果は3.5合にアップ。
自覚症状はだいぶ軽減してきてはいるが、
まだ治っている途中なので漢方薬は同じ量を継続して頂く。

【治療のポイント】
肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)と言えば「二朮湯」という漢方薬を使うことが多いと思います。
「風邪には葛根湯」と同じ要領で病院で安易に処方されるほどに多いです。
しかし今回の患者さんは二朮湯証(二朮湯で治る体質)ではなく葛根湯加朮証・四逆散加芍薬証でした。

これは、初回時にお話を伺った際

・便秘(1週間出ない時もあるほどなので3日出ないとマグネシウムを飲むようにしている)
・冷え性(特に足)
・口が渇く 舌に白い苔がある
・痛みで目が覚めるとその後なかなか眠れない

という情報から、この患者さんは何かしらの原因で心が緊張し、
脳(五志の憂と言います)が痛みを感じやすくなっている状態であることが推測できました。

そこで、痛みに対応する漢方薬だけでなく、
心の緊張をほぐすための漢方薬も併用して頂きました。

『痛み』は「患部」を治すことはもちろん必要ですが、
この方のように「脳・自律神経」を治すことも必要とされるケースが少なくありません。
睡眠や便通に影響が出ている場合は特にそれが顕著のように思います。

心の緊張をほぐすと、体の緊張もほぐれます。
体の緊張がほぐれると筋肉がやわらかくなり、本来の状態に戻れるようになります。
本来の状態に戻れる能力を自然治癒力と呼びます。
自然治癒力を健全な状態に戻せば、病気は治ります。

今回の症例はこの治療の根源を改めて認識する症例でした。
患者さんが「眠れるようになったのが何より嬉しい」と仰っていたのが特に印象的でした。

常に痛みを感じるというのは大変なストレスかと思います。
そのつらさが無くなって本当によかったです、お役に立てて嬉しい限りです。