チック症の症例です。
12歳 男性

チック症状はどんな時に、どのように出ますか?

□ 1年程前から運動性チックが発症(音声チックは無い)脳 神経 チック
□ 緊張する時に出やすい
□ 学校では抑えているが、家に居るとチック症状が出る
(ひどい時は学校でもチック症状が出る)
□ 地面に足を強くたたきつける
□ 顔面のすばやい動き(強いまばたき・顔をしかめる)
□ 急に息を強く吸い込む(過呼吸みたいな感じとのこと)

その他気になることは?

・勉強に対する集中力がない
・注意力が散漫
・いつも緊張している感じ(普段の表情が昔と違うとのこと)
・イライラしやすい
・ストラテラを服用すると副作用で頭がボーっとしてしまうのがつらい上にチック症状への効果が無い

体質チェック

・特記事項なし
・性格はまじめ

糸練功でチェック

脳(五志の憂)の反応 肝 陽証 0.2合
肝経絡のアンバランス(高ぶり、過剰)を整える漢方薬を選定。

10日後
早くも効果を実感。
〇授業に集中できるようになった。

7日後
◎チック症状の頻度減少
◎チック症状の度合いも軽減

問診、糸練功でのチェックに加え、本人も自覚する改善がみられているため、
同じ漢方薬を継続して飲んで頂く。

治療のポイント

チック症は脳(大脳皮質)の過剰な興奮が原因とされています。
一般的には症状は一時的で1年ほどで消失することもあるのですが、
今回の症例の方はどんどん悪化してきているため心配になり来局されました。

チック症はADHD(注意欠陥障害)を併発することもあるため、
病院ではストラテラを処方されていました。

ストラテラは神経興奮薬です。
チック症は脳の異常興奮です。
異常興奮に対し興奮薬を使うのはおそらADHDが併発しているからと推察できますが、
いささか強引な治療であることには変わりはありません。

漢方薬でも脳の過剰な興奮を鎮めることができます。
不眠症や統合失調症やパニック障害、はたまた癲癇(てんかん)などが治るのはそれ故だと考えられます。
今回の患者さんの場合は『肝』の高ぶりと思われる症状があり、糸練功の反応も確認されました。

ストレスや緊張が起きたとき、脳内を走る電流に対して強すぎる電気が流れてくるためにチック症状が出る。
鎮静剤などの西洋薬は電流を正すのではなくブレーカーを無理矢理落とす。
これに対し漢方薬はフィルターのように働き、その電流を調節してくれる。
患者さんにはチック症状を治す漢方薬をこう説明しました。

「漢方薬は苦いけど、自らすすんで飲んでいる」そうです。
治療を続けるうえで体質が変わり漢方薬の内容が変わることもありますが、これなら大丈夫そうですね。