チック(チック症)を漢方薬剤師が解説

このページをご覧いただきありがとうございます。
ふじみ薬局の高橋信人と申します。長い文章ですがきっと何かお役に立てる情報があると思いますので最後までおつきあいください。


チックは漢方薬で改善が非常に多いご相談です。
チックには2種類あります。
①運動チック
②音声チック


運動チックは局所に力を入れる動作が多く、強くまばたきをする 顔をゆがめる・しかめる 肩をあげる 口の中で舌をモゴモゴさせる といったクセのような動きのものから、 頭をたたく 首を後ろに強くそらす 手が勝手に動く けいれんのようにビクつく 全身に力を入れる といったチックの認識がない人がみたら驚くような強い症状のものまで多岐に渡ります。


音声チックは のどを鳴らす 鼻をすする 舌打ち ため息 咳払い などといった軽い症状から 汚い言葉、苦言、罵倒 大声で叫ぶ 発狂したように大声をあげる など多岐に渡ります。
声や音がするものですから一緒に暮らしているご家族が気になりやすいです。


どちらも無意識でやっている場合もあれば我慢できずに意識的にやってしまう場合もあります。
意識的なのか無意識なのか、ガマンできるのかできないのか。
この違いによって、治療のスピードを早めるための周囲(ご家族や友達、学校など)の対応が違ってきます。


チックなのか、クセなのか。
どんな時に悪化するのか、再発するのか。
それを理解することで、漢方薬を飲むだけでなく実践できる範囲でやれることがあると思います。


「この症状はチックですか?トゥレット障害ですか?」と質問されることが多いですが、漢方ではこの2つを特に区別していません。運動チックと音声チックが両方出ているからトゥレット?なかなか治らないからトゥレット?
それよりも症状のひどさでみることが大事です。
「無意識に激しい動きをするので肋骨を痛めてしまった」という症例があります。これは運動チックだけですが随分ひどい症状です。ぴったり合った漢方薬を選ぶには病名ではなく、病状(病気の状態、進行度、重症度)を理解することが大切なのです。


当薬局では多くのチック患者さんをみてきたのでその見解をお伝えします。

原因は?

西洋医学では特定されていません
要因として、低出生体重妊娠中の母親の喫煙があげられていますが発達障害同様、確定するにはあいまいな要素のように思います。
また、不安や興奮、疲労などの環境下(ストレス)において悪化するとされています。


ふじみ薬局としての見解は、脳の異常興奮です。
原因は、親の影響(しつけや怒り方、愛情不足など)も考えられますが、そういった環境にあるこども全員がチック症になるわけでもないので必ずしもそうではなく、体質(性格も含め)によるものが大きいと考えています。


ただ、強いストレスをきっかけに発症することはとても多いです。
親にきつく怒鳴られた、こども園での発表会などの緊張するイベント、祖父祖母の死去をきっかけに等です。


これらが引き金になり発症し、その後は些細なストレスなどで悪化し、良くなったり悪くなったりを繰り返しているようです。


実際、私の娘も2歳6ヶ月の頃にチックを発症しました。
公園で男の子とケンカしたのがきっかけです。
その後も疲れたりイライラしたり、また辛いものを食べた時、興奮したときなどに発症するようになりました。
漢方薬をしばらく飲んで治まりました。


緊張しやすい性格、イライラしやすい性格の子がチックになりやすいと思います。

チックの漢方治療ってどういうこと?

漢方薬には脳や自律神経に働き、興奮を抑える作用を有するものが多数あります
脳の興奮を抑えるという点では病院で処方される向精神薬と同じですが、向精神薬ふらつきや強烈な眠気などに悩まされることが多く、さらには発達中成長途中の脳への影響が懸念され、心配される親御さんが多いです。


漢方薬は体質にあわせて見立てますので副作用の心配はとても少ないです。(当薬局では副作用事例はゼロです)


一般的には、
抑肝散
抑肝散加陳皮半夏
桂枝加竜骨牡蠣湯
小建中湯
甘麦大棗湯
などを使うようですが、ではこの5種類の使い分けはどうするの?と気になりますよね。


先述しましたが、性格にも体質があります
緊張しやすい性格やイライラしやすい性格はチックになりやすいのですが、それだけではこの5種類の中のどれにも当てはまってしまってどれにしたらいいのかわかりません。


当薬局では細かい問診に加え、体格や顔や声から体質の特徴を捉え(望診といいます)さらには医療気功にてダブルチェックをいたします。気功でチェックすることにより細かな差を確認できます。


性格はひとそれぞれですから、上記5種以外の漢方薬を使うことももちろんございます。


当てずっぽうで間違った漢方薬を飲み続けるということは治療していないのと同じことですから、それだけ治療のスピードが遅くなります。お早目にご相談くださいね。

生活上でチックを悪化させないポイントは?

チックの原因は脳の異常興奮であるとお話しいたしました。
ですから、日々の生活の上で脳が異常に興奮することはなるべく避けてください。
・視覚の興奮:スマホ、パソコン、タブレットなど近距離での映像(時間も関係します)
・聴覚の興奮:大音量での音楽、ヘッドホンやイヤホン
・味覚の興奮:化学調味料(特に旨味調味料、アミノ酸、酵母エキス、たん白加水分解物)


※ご家族にお伝えしたいこと
チックは無意識にやっている場合と、(衝動にまけて)意識的にやってしまう場合があります。
チックのタイプや個人の性格によることもありますが、治療していく中でこれらが混在することもあります。


よく「注意や指摘をしてはいけない」とされていますが、これは少し違うかなと思っています。
無意識タイプには指摘したところで本人は何のことかさっぱりわからないまま注意されてストレスになるので指摘はダメです。
意識的にやるタイプも衝動に駆られガマンできずにやってしまうので指摘はダメです。
ただし、意識的にやってしまうタイプでも症状が改善されていくに連れ「ガマンができる」ようになっていきます。
チックがクセになっている事もありますから、「チック症状をやりたくなってしまうけどガマンできる」ようになったらタイミングをみて声をかけてあげたら良いと思います。
この匙加減は難しいと思うので私が一緒に考えさせてもらえればと思います。


悪化するタイミングは本人がわかるストレス時だけでなく風邪の咳払い花粉症の眼のかゆみなどからその動きだけが残りチックになってしまうこともあります。
これらは風邪や花粉症が治るとともにチックも治まってしまう場合もあれば、チックだけが残ってしまう場合もあります。
その違いは漢方薬などによっての改善の度合いと関係しているようです。


当薬局は脳自律神経の相談が得意です、と標榜しています。
それは
①性格にあった漢方薬を選べること
②性格にあったカウンセリングができること
③性格にあった治し方の提案ができること
だからです。


他で良くならなくてうちにいらっしゃる事例も多くあります。
あきらめる前にご相談ください。


ご参考までに、当薬局の治療症例をご覧ください。