心因性の呼吸困難と咽喉神経症(ヒステリー球)の症例です。
40歳 男性
※患者さんの了承を得て投稿しています

タバコのにおいをかぐと喉が締め付けられるようで息苦しくなる!

治療したい症状は?
□ 気管支ぜんそく
□ タバコの煙を吸うと喉がヒリヒリして苦しくなる
□ ストレスが強くかかると喉がしめつけられて息苦しくなる
(ヒステリー球、咽頭神経症、梅核気などと呼ばれるもの)

お話を聴いていると、ぜんそくや息苦しさの原因は、
タバコの煙やにおいでした。
ちなみに喘息の吸入薬や内服薬は色々試したが、すべて全くの無効。

どんな時にひどくなりますか?

両親と同居中。父親は喫煙者。
・父親と接してタバコのにおいを感じると息苦しくなるc72881dcc48f5466198b863e19f40c6b_s
・父親が家に入ってくる音がすると息苦しくなる
・台所やトイレなど、父親が居た場所に行くと息苦しくなり、動悸がする
・父親が使った後の車に乗ると息苦しくなる

これは、タバコのにおいや煙と言った化学物質の刺激も考えられますが、
ストレスに対する自律神経の反応(五志の憂)の方が影響が強いように感じます。

体質チェック

・主訴以外の治療のヒントになりそうな特徴なし
・睡眠中も父親の生活音で目が覚めてしまうため、寝床につくのは午前3時
・食事は朝は菓子パン、昼はジャンクフード、夜は冷凍食品

糸練功でチェック

喉と脳ストレスの反応
① 胆 陽証 0合 風参合牡蠣仙証
② 肺 陽証 0.5合 桂枝甘草龍骨牡蛎湯合半夏厚朴湯竜仙牡蠣仙証
以上の2点を確認し、対応する漢方薬を選定。

養生としては、食事と睡眠の重要性をお伝えしました。
もう少し早く寝るようにしてみると仰っていただけました。

15日後。
□ 気管支ぜんそく ← 症状出ていない
□ タバコの煙を吸うと喉がヒリヒリして苦しくなる ← ヒリヒリ感消失
□ ストレスが強くかかると喉がしめつけられて息苦しくなる、動悸がする ← 動悸は消失


30日後
・睡眠中に物音がしても目が覚めなくなった
・ここ2週間では、息苦しくなったのは1回のみ ヒステリー球(+)

まだ「息苦しくなる」という症状はあるものの、
頻度が減ったことと糸練功によるチェックで改善されていることが確認されたため漢方薬を継続。

治療のポイント

初診時には外出先で近くにタバコを吸っている人が居ると症状が出ていましたが、
漢方薬を飲んですぐに症状は出なくなった。
逆に、家に居て父親の気配を感じると息苦しくなる。
こういった心理的、精神的な要因によって症状が悪化することは心因性の病気と呼ばれています。

西洋医学では自律神経失調として片づけられ治療不可能とされるか精神安定剤の薬漬けになるかです。
しかし、漢方では自律神経の乱れにも体質や原因によってパターンが様々であり、
使う漢方薬の種類も多岐に渡ります。
〇〇病だから△△湯 といった使い方では治らないのは当然なのです。
(パニック障害では必ずといっていいほど柴胡加竜骨牡蠣湯が処方されていますが、全然合ってないであろう方がとても多いです)

今回の症例のように、心因性でありなおかつ目立った病変や体質がない場合、問診だけでは漢方薬の選定が難しいです。
しかし、問診に加え望診、糸練功を使うことにより適した漢方薬を選定することができます。

養生としては自律神経バランスを整えるためにも アミノ酸とミネラル を摂取すること。
インスタント食品、ジャンクフードはミネラルを対外へ排出させてしまうためなるべく控える事をお伝えしました。

過去に漢方薬が無効だった方で、当薬局の漢方薬が良く効いた例はたくさんあります。
あきらめる前にご相談ください。