仕事のストレスで出てきた諸症状にも漢方薬
ストレスが原因だと思われるつらい症状を治したい!
心因性の諸症状に対する漢方薬の症例です。
30代 女性。
治したい症状は?
□ 生理痛 ← 最近とくにひどい
□ 頭痛 ← 10年以上前から
□ 肩こり ← 10年以上前から
□ 疲れ ← 最近とくにひどい
□ 手足のむくみ ← 5年前から
□右半身のしびれ ← 5年前から
治療のポイント
つらいのだけれど表現しづらい症状、病院で検査をしても原因不明。
他人からもわかってもらえない。気になると不安になり悪化する。
これを不定愁訴と言います。
不定愁訴は自律神経の乱れから起きるものです。
西洋医学的治療ではこういった痛みには心因性疼痛として精神薬を使いますが、
副作用と依存性を恐れて飲みたがらない人も多いです。
今回の患者さんも「病院の薬はこわいから飲みたくない」ということと、なかなか治らないことから来局されました。
自律神経の変動は数値化できません。
また自律神経は画像診断もできません。
そうなると西洋医学の治療は難航します。羅針盤がないのですから当然ですね。
漢方は体質を見極めたうえで患者さんの訴える症状に対応する漢方薬や養生法を選びます。
病名はあまり重要ではなく、あくまで症状と体質のアンバランスを整えることに重きを置きます。
漢方薬は気の乱れを整えるものが多くあり、その働きにより、ストレスから起こるつらい症状を治療できます。
体質チェック
・生理痛は生理前日が一番ひどい 薬を飲まずにはいられない
・過敏性腸症候群(ストレスが多いとおなかが痛くなり、下痢と便秘を繰り返す)
・手汗・足汗が多い からだが熱い
・特に理由はないのにイライラしてしまい、その後気分が落ち込む時もある
・お酒をよく飲む
糸練功でチェック
五志の憂(ストレスに対する脳の反応) -0.5合 胆 陽証
肩こり 左:5.5合 右:2.8合
生理痛 -0.5合
瘀血(血流が悪い状態) -0.5合
①ストレスから起こる『緊張』をゆるめる漢方薬 (朝 昼 夕)
と
②血のめぐりをよくする漢方薬 (朝 夕)
を選定。
↓
漢方薬を飲んで14日後。
□ 生理痛 ← 先週生理きたが、今までよりも全然軽くて驚いた!
□ 頭痛 ← 消失
□ 肩こり ← あまり変化なし?
□ 疲れ ← あまり変化なし
□ 手足のむくみ・しびれ ← ほぼ消失(たまに出るが、以前よりも頻度はずっと減った)
□ イライラ ← 軽減 おちこみは無し
「肩こりの具合はどうですか?」と質問したところ
「今週はひどい」と仰いました。
痛みがひどくなるタイミング、時間帯など詳しく聴いてみると、
「お昼過ぎがいちばんひどくて、朝と夜はあまり気にならない」と仰いました。
血の流れをよくする漢方薬が体に入っていると考えられる時間帯には痛みが出ないことから、
②の漢方薬は昼と夕に飲み方を変更し様子をみることに。
心因性の症状は様々な場所に出ます。患者さんの訴えも強いです。
漢方薬を飲むと、すぐに改善する症状もあれば完治までに時間のかかる症状もあります。
つらい症状がひとつでもあれば、ご本人は「つらい」「改善してない」と思われるかもしれませんが、
対話して紐解いていくと「そういえばそれは楽になった」と応える症状が出てきます。体質改善は簡単なことではありません。
ましてや自律神経が関係することです。
しかし、変化 があれば 完治 に近づきます。
あきらめずに一緒に治療していきましょう。