心の病気は病名ではなく症状が大事(ADHD)
ADHD(注意欠陥障害)とそれに伴う諸症状の症例です。
20代 男性
併用薬:ストラテラ
ADHDの治療とは
ADHD(注意欠陥・多動性障害)は脳の先天的な発達障害とされています。
(脳の前頭葉、間脳、小脳、海馬などの働きが関係しているとされています)
西洋医学では根本治療はできないと考えられており、症状の緩和を目的に脳内のホルモンを調節する薬で対応します。
※メチルフェニデート(主な商品名:コンサータ)、アトモキセチン(主な商品名:ストラテラ)
漢方ではADHDに伴う諸症状に注目し、体質を見極めたうえで症状に対応していくことになります。
随伴する症状は多岐に渡り、さらに個人差があります。
ストレスが大きく影響する心因性の症状が多いため、
脳~自律神経のバランスを整えることを目標とします。
ADHDの症状は?
□ 常に頭がぼーっとしている
□ 体が重い
□ 記憶力が悪い
□ 集中力がない
□ 感情のコントロールが難しい
□ 単純な計算が苦手
□ ものを失くしやすい
□ ケアレスミスが多い
つらい症状は何ですか?
□ 偏頭痛がひどい(前額部)
□ ストレスがかかると体が重くなり、胸痛・動悸・尿意を催す
□ 夜眠れなくなるほどの胸痛
□ 耳鳴り(ピーという高音)
体質チェック
・寝付きが悪い
・冷え性(手足の先が特に冷たい)
・肩こり~首こり
・腰痛
・ストラテラは長い期間飲み続けているが効果を全く感じない
糸練功でチェック
脳の反応 肝 陽証 0合
肝の余分な熱をおさめ、気の流れをよくする漢方薬を選定。
↓
35日後
□ 寝付きが悪い ← 良い日が出てきた
□ 偏頭痛 ← いまのところ出ていない
□ ストレスがかかっても胸痛が出なくなった
↓
21日後
初回の問診でうかがった症状は概ね良くなっているが、
□ ストレス時に心臓の拍動が気になる
□ 気分が落ち込むことが多い
という新しい症状が出てきたため、糸練功でチェックした後に漢方薬を変更。
↓
10日後
◎心臓の拍動が気にならなくなった。
△気分の落ち込みも良くなっているが、突然落ち込むことがある。
ここでADHD本体の症状に変化が起きました。
□ 基本的には忘れっぽいが、覚えている回数が増えている気がする
患者さん「だけど、もっと良くなりたい。
いまがゼロ点。スタートラインにやっと立てた。今まではマイナス100点って感じでした。」
脳の代謝は60日と言われていますが、まさにそのペースで改善がみられてきました。
西洋医学では治らないとされていても漢方で改善できる病気は沢山あります。
特に心の病や痛みなどの数値化できないものに対して特に有効だと思います。カウンセリング時、患者さんの話を聴いていて、ふと
「〇〇さんの脳をパソコンだとすると、一度にいろんなことが気になってメモリをいっぱい使ってしまっていて、HDDの容量もいっぱいいっぱいで捨てられないという感じ?」
と質問したところ「まさに僕がいつも思っていることです。はじめて他人に理解してもらえました。」と仰られたのが印象的でした。
つづく