漢方外来と漢方薬局の違い
トゥレット症候群(トゥレット障害)の症例です。
14歳 男性
前回の内容はこちら
症状が日に日に悪化していくのがわかる
トゥレット症候群の症状として、本人も親御さんも一番気になっているのは激しい運動チックです。
初回の相談中には首を激しく振る動作が頻発し、見ていてかわいそうになるほどでした。
正直ここまで症状が強いチックは珍しいです。
(ご本人も数多の病院でそう言われてきたそうです)
それが漢方薬を飲んでおよそ1ヶ月で目に見えて改善していました。
「このまま治まっていきそうだな。よかった。」
と思っていたのですが、ショックな出来事はその後に起こりました。
ある日風邪を引いてしまい、市立病院の内科に行ったときのこと。
風邪薬との飲み合わせチェックのための質問に対し漢方薬を飲んでいることを伝えると、医師から「漢方薬なら漢方外来があるからそちらへ行ってみては?」と勧められたそうです。
ここで一旦、私との漢方治療はストップ。
病院で漢方薬を処方してもらうようになりました。
病院の漢方薬はエキス顆粒であること。
効果が弱いかもしれないこと。
病名漢方(体質を見極めた診断ができない)かもしれないこと。
体質が変わった時の対応が難しいかもしれないこと。
などなど留意点をお伝えしました。
そして1ヶ月後。
チック症状が悪化して、再び相談へいらっしゃいました。
本人が「日に日に悪化している」と親御さんに訴えたそうです。
お薬手帳で処方された漢方薬を見ました。
おおよそ体質には見合わない薬方名が書かれていました。
「せっかく良くなっていたのに」何とも言えない虚しさを感じました。
しかし漢方外来にいくことを決めたのもご本人たちですし、私もそこへ行くなとは言えません。
しかししかし、漢方外来で漢方薬局のような見立てができるかと言うと、今回はそうではなかったようです。
(漢方薬を飲んでいたけど症状が悪化したから、ではなくそのプロセスが病名漢方でした)
症状は初めてうちに来たときと同じほどまで戻っていました。
糸練功でチェックしたところ、やはり初回時の合数くらいまで下がっていました。
仕方のないことですが、患者さんの気持ちを考えると、本当にどうにもやりきれない思いでいっぱいです。
漢方治療を再開し1ヶ月が経過
ここ3日ほど調子が良いと喜んで仰いました。
5分くらいチック症状が出て、その後はほとんど出なくなったとのことです。
チック症を患う方に多い手汗・足汗も最近は出ないようです。
一度は振りだしに戻ってしまいましたが、もちなおすことができてひと安心。
「完治に向けて漢方薬を飲みたい」と仰っていただきました。