漢方薬の決め方の違い ~患者さんのことをよく聴く~
漢方薬の決め方のお話です。
漢方薬は『体質に合わないと効かない』とよく耳にしますよね。
そうです、まさにその通りです。
漢方薬は出す側(医師だったり薬剤師だったり)が『体質』はもちろん、『病気の性質』や『原因』を見極めたうえで渡すのが然るべきです。
当店の相談が完全予約制であることはこれも一因であります。
体質を見極めるためには『細かい問診』が必要不可欠なのです。
患者さんのことを『よく聴く』ということ
・病気や症状はいつからですか?
・どういったときに悪くなりますか?または良くなりますか?
・原因に心当りはありますか?
さらに私はどんなご病気の相談でも必ずお聞きする項目があります。
・冷え症ですか?暑がりですか?
・大便、小便の性質は?(回数や色など)
・食欲はありますか?
・睡眠の質は?(寝付き、途中で覚めるか、夢を見るかなど)
・生理に問題ありませんか?(生理不順、生理痛、塊の有無など)
これらは体質を見極める上でとても重要なヒントとなります。
逆に、この情報なしでは体質に合った漢方薬を選ぶのは困難だとも言えます。
問診はもちろん、顔や肌の色、舌の状態(歯形の有無、苔の性質など)、歩き方、話し方、性格などもピッタリ合った薬方を決める大きな手がかりになります。
細かい問診をするとおよそ30分、なかなか治らないご病気で悩まれている方の場合は1時間かかることもあります。
※そこからさらに糸練功(医療気功)によって薬方に間違いがないかチェックします。
(糸練功に関しては別記事にて)
これらが『体質を見極める』ということです。
「病名漢方」とは
では、病院での診断はどうなのでしょう。
全ての病院がそうではないと思いますが、病院の短い診察時間で行われる診断は「病名漢方」と呼ばれています。
病名漢方とは「〇〇病には△△湯」というように、ひとつの病名に対してひとつの処方を当てはめる決め方です。
「風邪に葛根湯」というのが有名ですね。
風邪と言えば葛根湯、葛根湯といえば風邪。
しかし残念ながら実際はそうではありません。
人間の体は複雑であり、漢方は奥が深い医術なのです。
当店では風邪の漢方薬だけでも20種類以上置いています。
風邪の性質、患者さんの体質を見極めたうえでその中のものを時には組み合わせてお渡ししています。
また、葛根湯といえば風邪薬。というのも半分正解で半分不正解。
葛根湯は薬味を加えることで蓄膿や肩こり、頭痛に蕁麻疹、神経痛などに効果があり、用途は多岐に渡ります。
しかし、病名漢方ではそうはいきません。
不眠症といえば〇〇湯。
うつ病なら〇〇湯。
のどに違和感があれば〇〇湯。
こういった出し方では的中率=治癒率があまりにも低くなってしまいます。
しかし、病院の短い診察時間ではそれが限界なのです。
「一覧表が置いてあってそこから選んでいた」というのも実際よく聞く話です。
病名漢方と漢方専門薬局の『漢方薬の決め方の違い』おわかりいただけたでしょうか?
次回は漢方薬局の中でも突出した技術『糸練功』(医療気功)の魅力についてです。
つづく